ほっと一息、ひとりごと

日常をキリトリ✂

祖父母との時間

小学4年生の夏、父の転勤で転校した。引っ越しはちょうど夏休み中で、その夏は弟と一緒に数週間ずつ両家の祖父母の家にお世話になった。はっきりとは思い出せないけど、プールをしたり宿題をしたり、カレーを食べたり。普段は入らない祖父の部屋に入って、大きくて重い文集や図鑑をパラパラと眺めた。窓ガラスに紙を当てて模様を写し取った。毎日体重計に乗り、こんなに体重が増えてる!ご飯たくさん食べてるもんね!と弟と話した。楽しい夏休みの記憶の数々。

夏の終わりにさよならするとき初めて「もしかしたらこれが最後になるかもしれない」と思った。今までは同じ市内で30分も車に乗れば会いに行けたけど、これからは高速を使って帰ってくることになる。きっとまた元気に会えるけど万が一のとき後悔したくない。また会いに来るね!心を込めて、いつもより丁寧に大きな動きでバイバイと手を振った。

それから別れ際はいつもまたね!と口にしながら「もしかしたらこれが最後になるかもしれない」と頭の片隅で考えるようになった。車に乗って帰るときは後ろを振り返り、姿が見えなくなるまで手を振った。

嬉しいことに、結局私が社会人になるまで祖父母たちは元気だった。たまに会いに行けば揃って迎えてくれて、お茶を飲みながら色々喋った。久しぶりに会うからどう接していいか分からなくて、会いに行く前はちょっと緊張して、別れるときは必ず来て良かったと思えた。そう思わせてくれる祖父母たちで本当に良かった。

そして今。ひとりは亡くなり、生きているじーちゃんばーちゃんと過ごせる時間もあとわずかなんだろう。その未来を納得して受け入れてる一方でやっぱり寂しさもあって割り切れないところもある。この気持ちを切ないと言うのかな。相手の都合や日常に追われてついつい会うのが後回しになってしまうけど、後悔はしたくない。会えないなら手紙を書けばいい。ちょこちょこ機会を作ってしっかり祖父母との時間を大切にしたい。